テニス肘の治療 〜手術〜|まえだ整形外科・手のクリニック|東京都杉並区にある手外科・整形外科

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手肘疾患の解説ページ(ブログ)

テニス肘の治療 〜手術〜|まえだ整形外科・手のクリニック|東京都杉並区にある手外科・整形外科

テニス肘の治療 〜手術〜

テニス肘は自然治癒しやすいですが、1年以上痛みに悩まされている方には、手術が必要となる場合があります。

手術が必要となる方は、全体の5-10%とされています1手術方法には、2つの方法があります。

オープン手術

肘の外側を切開し、腱のいたんだ部分を切除します。残った腱は骨と縫合します。

メリットとしては、腱のいたんだ部分を確実に切除出来ること、神経の処置を同時に出来ることですが、傷がやや大きくなります(5-8cm)。

神経の障害を合併している場合、神経の圧迫を取り除く神経剥離術を同時に行います2

関節鏡視下手術

内視鏡を使った手術です。腱の処置はオープン手術と同じです。

メリットとしては、関節の中を広い範囲で確認・処置出来る事、傷が小さい事です。デメリットとしては、神経の処置は内視鏡では出来ない事、入院・全身麻酔となる事が多いなどがあります。

どちらの手術が良いの?

どちらが優れているかの結論は出ておらず、いずれも手術後の経過は良好です。それぞれメリット・デメリットがありますので、最適な方法を提案させていただきます。

当クリニックではオープン手術を行っており、腕だけの麻酔(伝達麻酔)下に行う日帰り手術です(所要時間30分~1時間程度)。

内視鏡手術をご希望の方には、提携病院を紹介させていただきます。

手術後のリハビリ

手術後すぐ自由に手を使えるわけではなく、リハビリを行います。当クリニックでのリハビリは以下の通りです。

  • 手術後2週間まで:肘をシーネ(副木)で固定
  • 2週~:手くびにスプリントを装着し、肘の可動域訓練
  • 4週~:徐々に筋力トレーニング開始
  • 8週~:重いものを持つなどの許可

 

新しい治療(PRP注入療法)

現在テニス肘に対して行われている治療は、手術も含め、いたんだ腱を元に戻すものではありません。最近では、膝の軟骨などの再生治療が注目されていますが、テニス肘にもPRP注入療法という再生治療が行われるようになってきました。

患者さんから採取した血液から血小板の成分を取り出し、患部に注射する方法です。血小板の中には、自然治癒を促す様々な因子が含まれており、体への負担も少ないため、テニス肘の新たな治療として注目されています3

現在のところ、保険適応がなく自費診療となりますが、テニス肘の症状が長引いているが、手術は避けたいという方には、選択肢のひとつとなります。
当クリニックでも行っておりますので、ご希望の方はお申し出ください。

(文責:院長)

参考文献:

  1. Controversies in Surgical Management of Recalcitrant Enthesopathy of the Extensor Carpi Radialis Brevis.
    Gregory BP, Wysocki RW, Cohen MS. J Hand Surg Am. 2016 Aug;41(8):856-9. 

  2. Effect of Radial Nerve Release on Lateral Epicondylitis Outcomes: A Prospective, Randomized, Double-Blinded Trial.
    Tsolias A, Detrembleur C, Druez V, Lequint T, Lefebvre B. J Hand Surg Am. 2019 Mar;44(3):216-221. 

  3. Platelet rich plasma versus steroid on lateral epicondylitis: meta-analysis of randomized clinical trials.
    Mi B, Liu G, Zhou W, Lv H, Liu Y, Wu Q, Liu J. Phys Sportsmed. 2017 May;45(2):97-104. 

前田 利雄

記事監修

院長 前田 利雄
(まえだ としお)

  • 昭和大学医学部卒 医学博士
  • 日本手外科学会認定 手外科専門医・指導医