テニス肘の治療 〜手術以外〜
当クリニックで行っている、テニス肘の手術以外の治療方法について解説いたします。
テニス肘を解説したブログでお示ししましたが、テニス肘は基本的に治りやすい病気です。しかし、症状が良くなるまで数ヶ月〜半年、場合によっては1年程度かかる場合もありますので、早めの治療を受けていただく事をオススメします。
サポーター・スプリント

テニスエルボーバンド
腕に巻き付けるタイプのサポーターです。筋肉を圧迫することにより、腱が骨についている部分へのストレスを和らげます。
痛い骨の出っ張り部分から少し先(指3本分くらい)に巻くこと、力を入れた時に少し圧迫されるくらいの強さで巻くことがポイントです。

カックアップスプリント
手くびを起こした状態で固定するサポーターです。いたんだ筋肉にあまり力を入れずに手を使用する事が出来ます。当クリニックでは、ハンドセラピストが患者さんの手に合わせて作成します。
いずれのタイプも有効とされており、患者さんの仕事やスポーツ等の状況にあわせて使い分けています。
リハビリテーション
テニス肘の方は、手くびを起こす筋肉が硬くなったり、筋力が落ちている事が多いので、ストレッチや筋力トレーニングを行います。即効性はありませんが、継続する事で痛みに有効です。
様々な方法がメディアで紹介されていますが、それらが必ずしもご自分にあった方法とは限りません。当クリニックでは、ハンドセラピストが患者さんの肘の状態を確認した上で、適切な方法をお教えいたします。
神経の障害が考えられる場合、神経の滑りを良くする神経滑走訓練エクササイズも追加します。
ステロイド注射
痛みのある肘の外側にステロイドを注射します。痛みの緩和に有効です。当クリニックでは、エコーを見ながら確実に腱の部分に注射をします。
数カ月間は効果が持続することが多いのですが、注射を受けた人と、注射以外の治療を受けた人を比較したところ、1年後の痛みに差はなかったという報告があり、長期間の効果はあまり期待できないようです1。
劇的に痛みがよくなる事が多いので、注射のみを希望される方もいらっしゃいますが、ステロイドにはいたんだ腱を治す作用はありません。
繰り返す事で、逆に腱がもろくなったり、再発しやすくなる可能性もありますので、他の治療も行いながら、注射は最低限にとどめる事をおすすめします。
当クリニックでは保存治療を数カ月間は行い、それでも改善がない場合、手術治療を検討しています。
(文責:院長)
参考文献:
-
A Meta-Analysis of the Effect of Corticosteroid Injection for Enthesopathy of the Extensor Carpi Radialis Brevis Origin.
Claessen FMAP, Heesters BA, Chan JJ, Kachooei AR, Ring D. J Hand Surg Am. 2016 Oct;41(10):988-998.