ヘバーデン結節の治療:手術
- 2020年5月5日
- 日帰り手外科手術
ヘバーデン結節で手術が必要となることは多くはありませんが、どうしても症状がとれない場合、手術治療を考えます。
関節固定術
指の第一関節を金属で固定します。
軟骨を取り除くので、時間がたつと関節がなくなり、痛みがとれます。骨棘という余分な骨も同時に切除するので、見た目もほっそりします。
動きがなくなるのがデメリットですが、指全体の動きの範囲からすると、小さな角度です。細かな作業を必要とされる方には向かない場合があります。
くわしくはコチラをご覧ください。
骨棘切除術
ヘバーデン結節では、骨棘が痛みの原因のひとつで、手術でこれを取り除きます1。
関節が動かなくなるのは困る、という方にすすめられる方法です。
関節固定術と比較し、切除出来る骨棘が限られる、傾きなどの矯正は出来ない、痛みの緩和に時間がかかることがデメリットと言えます。
粘液のう腫切除術
ヘバーデン結節にともない発生する水ぶくれ(粘液のう腫・ミューカスシスト)を切除する手術です。
絶対に取らなければいけない物ではありませんが、大きくなると皮膚が薄くなり、ちょっとぶつけたり、何もしなくても破れてしまうことがあります。粘液のう腫は関節とつながっているため、破れると外からバイキンが入り、関節の感染症をおこす恐れがあります。
皮膚科で冷凍凝固治療などを受けられる方がいらっしゃいますが、のう腫の原因は関節に発生した骨棘なので、これを取り除かなければ再発を防ぐことが出来ません。

手術では、のう腫と一緒に原因となっている骨棘を切除します。
のう腫の上の皮膚が非常に薄くなっている場合、のう腫と骨棘を切除すると、皮膚が欠損してしまう事があります。

この場合、イラストのように「皮弁」というものを作り、皮膚を移動することで、欠損した皮膚をおおいます。
いずれの手術も局所麻酔で30分以内に終了しますし、手術後の固定も不要ですのでご安心ください。
(文責・イラスト:院長)
参考文献:
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Cheilectomy for Treatment of Symptomatic Distal Interphalangeal Joint Osteoarthritis: A Review of 78 Patients.
Lin EA, Papatheodorou LK, Sotereanos DG. J Hand Surg Am. 2017 Nov;42(11):889-893.