音楽家の手の障害 指がひっかかって弾きにくい?|まえだ整形外科・手のクリニック|東京都杉並区にある手外科・整形外科

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音楽家の手の障害 指がひっかかって弾きにくい?|まえだ整形外科・手のクリニック|東京都杉並区にある手外科・整形外科

音楽家の手の障害 指がひっかかって弾きにくい?

ピアノのオクターブや、バイオリンの高音域での押弦など、指を強く伸ばしたり、拡げたりする必要がある場合、関節がひっかかってしまい、うまく演奏出来ないという方を時々みかけます。ばね指と診断されてしまう場合も多いのですが、状態は全く異なります。

なんで指がひっかかるの?

第一関節を伸ばす腱(側索)は、指の曲げ伸ばしにともない、第二関節部分で上下に移動します。

関節の柔らかい方が、指を強く伸ばすと第二関節が反ります。すると、側索が骨の出っ張り部分に乗り上げ、引っかかってしまいます。この状態から指を曲げるには、側索が骨の出っ張りを乗り越えなければなりません。

指を曲げる力が伸ばす力に打ち勝つと、引っかかりがとれ、ガクンと急に指が曲がります。

日常生活では大きな支障とはなりませんが、スムースな指の屈伸が出来ないため、楽器演奏に支障が出る場合があります。

手の小さな女性がピアノのオクターブを押さえる時、バイオリンの高音域で小指を強く伸ばしながら押弦する時などによく発生します。

治療法はあるの?

スプリント(装具)で第二関節が反りすぎないように押さえてあげれば、ひっかかりは解消されることが多いです。

当クリニックでは、ハンドセラピストが8の字型のスプリントを作成しています。患者さんの関節の柔らかさや演奏する楽器によって、角度を調整する必要が必要がありますので、バイオリンなどであれば、ご自身の楽器を持参いただくと良いです。

引っかかりが非常に強く、自分の力で指を曲げられない状態になっていると手術が必要となる場合がありますが、非常にまれです。

指の引っかかりは、楽器演奏に大きな支障となりますが、シンプルな治療で解消することも多いです。お困りの方は、当クリニックへぜひご相談ください。

(文責:院長)

前田 利雄

記事監修

院長 前田 利雄
(まえだ としお)

  • 昭和大学医学部卒 医学博士
  • 日本手外科学会認定 手外科専門医・指導医