手外科について|まえだ整形外科・手のクリニック|東京都杉並区にある手外科・整形外科

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手外科について

手外科について|まえだ整形外科・手のクリニック|東京都杉並区にある手外科・整形外科

手外科とは

手外科手術

手は「手作業」「手さぐり」「手ぶり」というように、運動器・感覚器・コミュニケーションツールと様々な役割をもっており、体の中で特殊な部分といえます。

手は身体全体から見ると小さいですが、骨・関節、神経、血管、筋肉・腱、皮膚に至るまで緻密に構成されており、様々な機能を発揮します。

大脳皮質と身体の各部分の関係を示す、カナダの脳神経外科医ペンフィールドが作ったホムンクルス(脳の地図)を見ると、この小さな手が大脳のなかで非常に大きな部分を占めているのがわかります。これが、”手を使うと、脳が刺激される”所以です。

”手は第二の脳”とも呼ばれ、人類の進化には手の使用が大きな役割を果たしてきたと言えるのです。

感覚野、運動野

(出典:Wikipedia)

手外科専門医について

手が病気やケガでいったん障害されると、手の機能そのものだけでなく、脳の活動にも影響を及ぼす可能性があるため、その治療には細心の注意を払う必要があります。この治療を、専門的知識・技術をもって行うのが手外科であり、手外科専門医です。

手外科専門医になるには、整形外科/形成外科専門医を取得し、手外科に関する研修を5年以上(うち日本手外科学会認定研修施設で3年以上)受けることが必要です。

その上で、手外科関連学会での発表、学術専門雑誌への論文発表を行い、専門医試験の受験資格を得ます。

筆記試験・面接試験をへて専門医試験に合格した後も、5年ごとに専門医としての能力の審査を受けますので、継続的な知識・技術の研鑽が必要となります。

2022年現在、整形外科専門医数は全国で2万人超ですが、手外科専門医は1000名程度とまだまだ少ないのが現状であります。

院長はこの手外科専門医を取得・更新しており、2021年には手外科指導医資格も取得しております。手や肘でお困りの方、どんなささいなことでも構いません。なんでもご相談ください。

手の病気・ケガ

ばね指

指を曲げる動作は、腱が筋肉の収縮を指の骨に伝えることで発生します。
腱の浮き上がりを防止し、力を有効に伝達するため、手には腱鞘というトンネルが多数存在しています。
なんらかの原因で腱鞘が分厚くなり、腱のスムースな滑走が障害されることにより、ひっかかりや痛みを引き起こすのが「ばね指」です。
非常に患者様は多く、全国の整形外科で治療が行われていますが、けして治療が簡単というわけではなく、安易な手術は良くない結果に繋がる場合もあります。

母指CM関節症

母指CM関節は親指の付け根にある関節です。
親指は他の指と異なり、ぶん回すような回転運動が出来ますが、これを可能にするのが、母指CM関節の特殊な構造です。
親指は手の機能の半分近くを担うため、この母指CM関節にかかる負担は非常に大きく、軟骨の摩耗や関節のズレ(亜脱臼)が発生し、痛みや機能障害を引き起こすのが、「母指CM関節症」です。

手根管症候群

手首には指や手首を曲げる屈筋腱と神経が一緒に通過する「手根管」というトンネルがあります。
様々な原因によりトンネルが狭くなり、神経が圧迫されることによって、手の痛みやしびれ、筋力の低下といった症状を引き起こすのが「手根管症候群」です。
手根管を通過する神経(正中神経)は、手における眼の役割をする親指~中指の感覚、親指を動かす筋肉に命令を出す役割を担っており、手根管症候群は手の重要な機能を障害します。

へバーデン結節

指の第一関節の軟骨がすり減ったり、変形をきたすことで、痛みを引き起こす病気(変形性関節症)です。
全身には無数の関節がありますが、手の変形性関節症は圧倒的に数が多く、また日本人に多い病気です。
一般整形外科では、「歳のせい」「仕方ない」「そのうち治る」などと言われ、積極的な治療は行われることは少ない印象です。
原因や治療法など、まだわからないことが多い病気であり、元通りの関節に戻す方法はまだないのですが、現在わかっている科学的知見をもとに、出来るだけ患者様の苦痛を取り除く治療を提供してまいります。

肘部管症候群

肘の内側には尺骨神経という神経が通っています。靭帯での圧迫や、神経の脱臼などによって神経が障害され、小指・薬指のしびれや細かい動作のしにくさ等を引き起こす病気です。
進行するとしびれや痛みのみならず、手が不器用になってきます。神経伝導速度検査などで病気の重症度を調べますが、進行している場合、手術以外に有効な治療は現在のところありません。尺骨神経は回復しにくいため、あまり待ちすぎると完全な回復が得られない場合もあり、必要であれば早めの手術をお勧めしています。

ブシャール結節

指の第二関節の軟骨の摩耗、関節の変形により、痛みや運動制限が発生する変形性関節症です。第一関節に発生するヘバーデン結節と同様、更年期以降の女性に発生しやすい病気です。
第二関節は指の関節の中でも、非常に大きな可動範囲をもっており、ブシャール結節が発生すると、指全体の動きが悪くなり、機能の低下が強く出てしまいます。
一度進行してしまうと、悪化した可動範囲を大きく改善するのは難しいことが多く、早めの受診が勧められます。

TFCC損傷

手首の小指側の痛みを引き起こす代表的な病気です。
前腕の2本の骨を連結する靭帯を中心に、手首の安定化・クッションの役割を持つ組織がTFCCです。
損傷原因としては手を強くつくなどのケガが多いですが、加齢によるものもあります。ドアノブを回すなど、ひねり動作によって痛みが出ます。
TFCCは手首の小指側にありますが、この部位の痛みを出す病気はたくさんあり、慎重な診察と検査が重要となります。

テニス肘

肘の外側が痛くなる原因として最も多いのがテニス肘です。
手首を起こす筋肉(短橈側手根伸筋)が上腕骨にくっついている部分(腱)がもろくなっている状態です。テニスのバックハンドで痛くなるので、テニス肘の名前がついていますが、手首を起こす動作が繰り返される環境が誘引となるので、デスクワークでも発生します。
症状が出てから1年後には8割の方は症状が改善しているという研究もあり、自然治癒する傾向が強いと考えられていますが、長引く方には手術が必要となることもあります。

ハンドセラピィ(手肘専門リハビリテーション)

当クリニックでは、手術や注射などの治療だけでなく、手のリハビリであるハンドセラピィに力を入れています。「手のリハビリなんてあるの?」と思われる方が多いかもしれません。

リハビリと聞くと、起き上がったり、歩いたりといった移動に関するものや、スポーツ復帰のためのトレーニングをイメージされる方が多いと思います。

手はサイズが小さいものの、骨・関節・筋肉が集まった運動器官であり、また神経が密集しており、感覚も非常に重要な要素となります。

手は非常に緻密で繊細な構造をしていますので、リハビリには、身体の他の部分とは異なるアプローチが必要です。このリハビリを、専門的知識・技術により行うのがハンドセラピィです。
当クリニックでは、手や肘のリハビリを専門とするハンドセラピスト(作業療法士)が在籍しており(常勤2名、非常勤4名)、様々なリハビリを提供しています(予約制)。

特に力を入れているのが、スプリント(装具)治療です。スプリントには、患部の安静だけでなく、変形の矯正や予防といった機能をもつものもあり、様々な種類があります。