母指CM関節症は、スプリントやリハビリ、注射といった保存治療により多くの方は改善します。しかしどうしても症状が取れない場合、手術治療を検討します。
当クリニックでは主に、関節形成術という手術を行っています。右手のイラストで説明します。
まず、関節の土台である大菱形骨を切除します。軟骨・骨同士の摩擦がなくなり、痛みが和らぎます。
骨を取り除いたスペースはいずれ埋まりますが、その間に骨が落ち込んでこないよう、自分の腱(橈側手根屈筋腱)や糸を使って骨を吊り下げます1-2。残った腱をクッションとして、スペースに充填します。
この方法では関節の動きが保たれるため、細かい作業を日常必要とする方に向いている方法です。
手術後のリハビリは、以下のように進めていきます。
制限がなくなるのは、概ね2ヶ月とお考えください。
関節の変形は軽いけれど、痛みが強いという方には、
といった方法もあります。これらの手術適応があると考えられる場合、提携病院へ紹介させていただく事があります。
母指CM関節症で手術が必要となる方は、全体の20-30%とされています。当クリニックでも、手術以外の治療をまず行っています。詳しくは以下をご覧ください。
母指CM関節症のリハビリ 〜手術を回避できるかもしれません〜
(文責:院長)
参考文献:
Ligament reconstruction tendon interposition arthroplasty for basal joint arthritis. Rationale, current technique, and clinical outcome.
Tomaino MM. Hand Clin. 2001 May;17(2):207-21. Review.
Suture Suspension Arthroplasty for the Treatment of Thumb Carpometacarpal Arthritis.
Weiss AC, Kamal RN, Paci GM, Weiss BA, Shah KN. J Hand Surg Am. 2019 Apr;44(4):296-303.