まえだ整形外科・手のクリニック

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手がしびれる病気 〜肘部管症候群って何?〜

手がしびれる病気はたくさんありますが、小指・くすり指がしびれるものとして、肘部管症候群があります。しびれだけでなく、細かい手作業が難しくなるといった症状もあり、早めの治療がすすめられます。

肘部管症候群とは?

肘の内側を通る尺骨(しゃっこつ)神経が圧迫され、小指・薬指がしびれたり、手が使いにくくなる病気です。

尺骨神経は、小指・くすり指半分の感覚をつかさどっていると同時に、手の細かい動作をになう内在筋という筋肉の多くに命令を出しています。

肘部管:色々な筋肉や靭帯、骨に神経が囲まれています

肘の内側には骨や靭帯、筋肉に囲まれた肘部管(ちゅうぶかん)というトンネルがあり、尺骨神経が通っています。

このトンネルの中で、尺骨神経が様々な原因で圧迫され、しびれや手の使いにくさと言った症状を出すのが、肘部管症候群です1

放置するとどうなる?

手が不器用になります

ひとの手は非常に器用です。手の細かな動作を可能とする要素のひとつが、内在筋という手の中にある小さな筋肉です。

内在筋は手の中に20個ほどありますが、そのうち15個は、肘部管症候群で障害される尺骨神経から命令を受けているため、手が不器用になってしまいます。

握力が弱くなります

内在筋ひとつひとつの力は弱いですが、全て合わせた力は、握力全体の40%程度あります。また、小指・薬指を曲げる前腕の筋力も弱るため、力を必要とする動作に支障がでます。

手全体が平たくなります

病気が進行すると、内在筋の多くが痩せてきてしまいます。手の自然な丸みが損なわれ、平べったくなってきますので、人前に手を出したくないとおっしゃる方もいます。

放置すると、完全な回復が得られない事があります

症状の軽い初期であれば、数ヶ月で回復することが多いですが、神経が強いダメージを受け、”軸索変性”という状態になると、回復速度は1日1mmと言われています2

治療を受け、神経が回復し始めても、肘から指先への距離は30cm以上ありますので、単純計算でも回復には1年はかかることになります。

原因は?

肘部管症候群には、非常にたくさんの原因があります。

肘の曲げ伸ばし動作の繰り返し、長時間の肘の屈曲

手を強く握る動作

神経の脱臼

生まれつき肘のトンネルが浅かったり、トンネルの屋根にあたる靭帯がゆるいと、肘を曲げた際に神経が前にずれ、骨の上に乗り上げてしまいます。
肘の曲げ伸ばしを繰り返すことで、神経と骨の間に摩擦がおきるため、神経の障害が発生します。

変形性肘関節症

加齢などにより、肘関節の変形が発生すると、神経を圧迫することがあります。

滑車上肘筋

肘のトンネルの屋根の部分に、生まれつき異常な筋肉があると、ある日突然症状が出ることがあります。

できもの(ガングリオン・腫瘍)

せまいトンネルの中に、ガングリオンなどのできものが出来ると、神経が圧迫されます。

肘を伸ばす筋肉(上腕三頭筋)

肘を曲げたとき、筋肉の一部が内側にせり出し、神経を圧迫します。生まれつき筋肉が動きやすい方、スポーツなどで筋肉が発達している場合に起きることがあります3

どうやって診断する?

診察

感覚や筋力を調べます。

肘部管症候群では、小指・薬指の感覚が低下しますが、手の甲側の感覚が正常な場合、ギオン管症候群という別の神経障害の可能性があります4

特徴的なサイン

Froment徴候

  • 親指と人差し指の横の部分で紙をはさんでもらい、紙を引っぱった時、抜けないように親指の第一関節が曲がってしまいます。

    これは、親指を閉じる筋肉、人差し指を開く筋肉の力が弱くなっているため、親指の第一関節を曲げることで、紙をはさむ力を補おうとしておきる現象です。

かぎ爪徴候

  • 手の中にある内在筋の筋力が低下するため、特に薬指・小指がぴんと伸ばせなくなります。

誘発テスト

Tinel徴候

  • 肘の内側を強くぶつけると、指先にピリッと響いた経験はないでしょうか?肘部管症候群では、軽く叩くだけで、このピリピリが出ます。

肘屈曲テスト

  • 肘を最大限曲げてしばらくすると、小指・薬指のしびれが出ます。

 

各種検査

エコー検査

  • 神経のはれや脱臼の程度を確認します5

    外からはわからないトンネル内のできものや、異常な筋肉も確認できます。最近では、神経の断面積と病気の程度が関連するとの報告もあり、当クリニックでも積極的にエコー検査を行っています。

神経伝導速度検査

  • 神経を電気で刺激し、神経内で信号が伝わるスピードなどを計測します。病気の程度が数値化出来るため、治療法選択に重要な検査です。

治療法は?

当クリニックでの治療法は大まかに以下の通りです。

  • 軽症・中等症:くすり・スプリント・リハビリ
  • 重症:手術

(文責:院長)

関連ブログ

参考文献

  1. Ulnar neuropathy: evaluation and management.
    Dy CJ, Mackinnon SE. Curr Rev Musculoskelet Med. 2016 Jun;9(2):178-84. 
  2. The Management of Persistent and Recurrent Cubital Tunnel Syndrome.
    Grandizio LC, Maschke S, Evans PJ. J Hand Surg Am. 2018 Oct;43(10):933-940. 

  3. Snapping Triceps Syndrome.
    Rioux-Forker D, Bridgeman J, Brogan DM. J Hand Surg Am. 2018 Jan;43(1):90.e1-90.e5.

  4. Ulnar tunnel syndrome.
    Chen SH, Tsai TM. J Hand Surg Am. 2014 Mar;39(3):571-9.

  5. The Use of Preoperative Dynamic Ultrasound to Predict Ulnar Nerve Stability Following In Situ Decompression for Cubital Tunnel Syndrome.
    Rutter M, Grandizio LC, Malone WJ, Klena JC. J Hand Surg Am. 2019 Jan;44(1):35-38.

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