まえだ整形外科・手のクリニック

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手くびの骨折後に親指が伸ばせない! 腱が切れているかもしれません

手くびの骨折(橈骨遠位端骨折)は非常に多いケガです。この骨折のあとしばらくして、親指の第一関節をのばす腱(長母指伸筋腱)が切れてしまい、親指が伸ばせなくなる事があります。

痛みがないことも多く、「モノがつまみにくい」「親指をひっかけてしまう」などの症状を訴えられますが、ご自身で第一関節が伸びていない事に気づかれていない場合もあります。

長母指伸筋腱って何?

親指の第一関節を伸ばす腱です。

手首の部分で、伸筋支帯というバンドと骨によって作られる、「コンパートメント」というトンネルを通過しています。このトンネルを抜けると、リスター結節という骨の出っ張りを滑車にして、腱は親指側に大きく方向転換し、末端の骨に付きます。

トンネルが狭いこと、急激な方向転換をすることから、非常に大きなストレスが加わる腱と言えます。

なんで切れてしまうの?

腱が切れてしまう理由は、完全にわかってはいないのですが、

  • 折れた骨の鋭い部分
  • 血流の障害
  • 骨折後にできた新しい骨(仮骨)による圧迫


などが言われています。

骨折後1~3ヶ月程度経過してから切れる事が多いです1

また手術がおこなわれた場合、骨を固定するスクリューの先端で擦り切れてしまう事も報告されています。しかし、最近はスクリューの長さに注意して手術を行うようになっており、頻度は減っていると思います。

ひどい骨折に多いんでしょ?

イメージ的に、この腱断裂はひどい骨折に多そうですが、実はズレが小さい・殆どない骨折に多いのです。手術が必要ない骨折だからと、安心は出来ません。

骨折した部分はかならず腫れや血腫(血のかたまり)が発生します。骨折のズレがあれば、それらは周囲に広がっていきますが、ズレがないと、狭いトンネルの中に集中してしまいます。

その結果、トンネルのスペースがさらに狭くなってしまいますし、元々血流が良くない場所なので、腱が切れやすいのです。

治療はどうするの?

治療法は手術しかありません。

切れた腱はボロボロになっており、切れ端同士を縫い合わせることはほぼ出来ません。そのため腱移行といって、他の指から腱を移動して縫い合わせます

一般的に固有示指伸筋という、人差し指を伸ばす腱を使用します。人差し指の付け根で腱を切り離し、切れた長母指伸筋腱に編み込んで縫合します。

人差し指を伸ばす腱は2本あるため、手術後に指が伸ばせなくなる事はありませんので、ご安心ください。

もともと親指と人差し指は協力して動きますので、手術後の特別なトレーニングが必要ないことも、この腱を使用するメリットです。

当クリニックでは、局所麻酔で手術を行っています。手術中、患者さんに指を動かしてもらいながら、適切な縫合の緊張を決定します。手術後はハンドセラピストのもと、リハビリを徐々に開始します。

この腱断裂は頻度は低いですが、ズレのない骨折だからと安心は出来ない事がご理解いただけたかと思います。

早期発見・早期治療が重要となりますので、骨折がなおってきているのに、親指に違和感を感じる、動かしにくい感じがするなどあれば、担当ドクターにすぐお申し出ください。

(文責:院長)

参考文献

  1. Incidence of extensor pollicis longus tendon rupture after nondisplaced distal radius fractures.
    Roth KM, Blazar PE, Earp BE, Han R, Leung A.
    J Hand Surg Am. 2012 May;37(5):942-7.

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