手根管症候群の治療 〜手術〜|まえだ整形外科・手のクリニック|東京都杉並区にある手外科・整形外科

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手根管症候群の治療 〜手術〜|まえだ整形外科・手のクリニック|東京都杉並区にある手外科・整形外科

手根管症候群の治療 〜手術〜

リハビリやステロイド注射などの治療でも症状が改善しない場合、手術治療を検討します。ここでは、手術の方法、安全性などについて説明いたします。

手根管開放術

トンネルの屋根である靭帯を切り開き、神経の圧迫を取り除きます。局所麻酔の日帰り手術で、15分程度の所要時間です。

内視鏡を使用して行う手術もあります(※当院ではおこなっておりません)。傷が小さく、手が自由に使えるまでの期間が比較的短い事がメリットです。非常にまれではありますが、内視鏡治療では、神経や血管、筋肉の先天的異常などのために思わぬ合併症が発生する可能性が指摘されています1

内視鏡治療より傷はやや大きくなりますが、当クリニックでは安全性を最優先し、直接神経を確認する従来の方法で手術を行っています。従来法と内視鏡で、手術後1年の回復に差はないとされています。

手術の目的は、神経の圧迫を取り除く事ですので、手術後の回復は、神経の自然回復力にゆだねられます。

手術後にどの程度良くなるかは、年齢や手術法などよりも、手術前の病気の程度が最も関連することがわかっており2あまり我慢し続けると、回復が遅くなったり、最後まで回復が得られない場合もあります。

母指対立再建術

病気が進行すると、肉球部分の筋肉がやせ、つまむ動作が非常に困難となることがあります。このような場合、他の指の腱を利用して、つまみ動作を再建する手術を行います。

当クリニックでは、人差し指を伸ばす2本の腱のうち、1本(固有示指伸筋)を親指に移動して縫合する手術を主に行っています。

親指と人差し指は元々協力しあって動くようになっているため、手術後に特別な訓練を行うことなく、早くからうまく親指を使えるようになる事がメリットです3

費用等、日帰り手術についてはコチラをご覧ください。

(文責:院長)

参考文献:

  1. Our Surgical Experience: Open Versus Endoscopic Carpal Tunnel Surgery.
    Gould D, Kulber D, Kuschner S, Dellamaggiorra R, Cohen M. J Hand Surg Am. 2018 Sep;43(9):853-861.

  2. Predicting Clinical Outcome After Surgical Treatment in Patients With Carpal Tunnel Syndrome.
    Jansen MC, Evers S, Slijper HP, de Haas KP, Smit X, Hovius SE, Selles RW. J Hand Surg Am. 2018 Dec;43(12):1098-1106.

  3. 重度手根管症候群に対する固有示指伸筋腱移行による対立機能再建術
    森谷浩治、吉津孝衛,成澤弘子,原敬、柳橋和仁,牧裕
    日手会誌(J Jpn Soc Surg Hand),第 32巻 第3号 216-219,2015