親指のつけ根が痛い!〜母指CM関節症〜
- 2020年4月11日
- 手の病気・ケガ
ペットボトルのキャップを開ける、洗濯バサミをつまむ、ビンのフタを開けるといった動作で、親指のつけ根が痛くなることはありませんか?
関節の軟骨がすり減ったり、骨が変形する母指CM関節症かもしれません。
母指CM関節って何?

親指には3つの関節があり、いちばんつけ根の関節をCM関節といいます。
馬の鞍(大菱形骨)に人(中手骨)がまたがっているような構造で、靭帯が二つをつなぐ手綱の役割をしています。
この構造とたくさんの筋肉が、親指の自由な動きを可能としています。

大きく動かせる分、負担がかかりやすい関節なので、変形が起こりやすいです。
靭帯がゆるんでくると、関節が不安定になり、ずれてきます(亜脱臼)。すると軟骨が徐々にすり減ってきますし、関節を安定させようとして骨が出っ張ってきます(骨棘)。これが母指CM関節症です。
母指CM関節症の症状は?
痛み
最も多い症状です。母指CM関節には、指先の10倍以上の力が加わるので、
- ペットボトルのキャップを開ける。
- 洗濯バサミや爪切りをつまむ。
- ビンのフタを開ける。
- 手をついて立ち上がる。
といった動作で痛みが出やすいです。
母指CM関節症の症状は、利き手でない方に多いとされています。
”右利きなのに、何で左が痛いの?”と質問されることがありますが、不思議なことではないのです。
変形
関節の亜脱臼や骨棘によって、親指のつけ根がでっぱってきます。

親指は力をぬいた自然な位置だと、なめらかなカーブ状の並びとなるのが普通ですが、関節が亜脱臼するとバランスが崩れ、ジグザグの並びになります。
親指の開きが小さくなるので、大きな物がつかみにくくなりますし、第二関節(MP関節)で開きを補おうとして、この関節の反り返りが強くなり、痛みが出ることもあります。
母指CM関節症は治らない?
整形外科で母指CM関節症と診断されると、
「治りません」「治療法は手術しかありません」
と言われてしまったと仰る患者さんが多いですが、そんなことはありません。
これは何故なのか分かっていないのですが、変形がそのままでも、痛みが取れてしまう方も多くいらっしゃるのです。
手術が必要となる患者さんは、20〜30%というデータもあります。くすりや注射、リハビリといった治療で、よくなる可能性は十分あります。
当クリニックでは、手や肘のリハビリを専門とするハンドセラピスト(作業療法士)が在籍しております。スプリント(装具)を中心としたハンドセラピィを積極的に行い、手術を行わずにすんだ方も多くいらっしゃいます。
あきらめず、当クリニックにご相談ください!
(文責・イラスト:院長)