ばね指の注射は何回まで出来る?
- 2020年5月3日
- よくある質問
指がひっかかったり、痛みを出すばね指(腱鞘炎)。ここでは、よく行われる治療であるステロイド注射について説明いたします。
指を動かす屈筋腱のトンネル(腱鞘)がはれ、すべりが悪くなるため、指のひっかかりや痛みがでるのが「ばね指(狭窄性腱鞘炎)」です。
ステロイド注射は、手術以外の方法では最も有効な方法です。当クリニックでは、確実に腱鞘の中にくすりを入れるため、エコーを見ながら注射をしています。
成功率・再発率は?
一回の注射で60~90%の方に有効ですが、繰り返すごとに効かなくなることが多いです1。
また、注射を受けた方が再発する確率は、半年で30%、1年で50%とされています。
何回まで注射できるの?
注射は3回までと説明されることが多いようですが、回数に関しての明確な決まりや制限はありません。
ステロイド注射の効果持続期間は3-4ヶ月程度なので、注射を繰り返す場合、回数よりも、一定の間隔をあけることが重要です。短期間に注射を繰り返すと、ステロイドが腱のまわりに蓄積し、腱がもろくなります。ひどい場合、ある日突然腱が切れてしまい、指が動かなくなるということもあります。
実際には、2回・3回と回数を重ねるごとに再発までの期間が短くなるケースが多く、注射の回数が多いほど、手術後の回復が遅いとされていますので、2回以上再発をした時が、手術のタイミングと考えると良いと思います。
ばね指の手術に関しては、こちらをご覧ください。
ステロイドってこわいイメージがあるけど?
当クリニックではトリアムシノロン4~8mgとごく少量のステロイドを使用しておりますので、全身に影響を及ぼすことはまずありません。ご安心下さい。
手術は絶対したくない!
こうおっしゃる方もいらっしゃいます。ステロイド注射の効果があまりない場合、手術をおすすめしていますが、どうしても手術を受けたくないという方には、スプリント(装具)を使用した治療もあります。
関節を固定するスプリント(装具)を装着し、指の動きを制限します。腱と腱鞘の摩擦が軽くなり、症状が和らぐ場合がありますが、症状の改善には時間がかかります。
どのような治療を受けるのであれ、放置は望ましくありませんので、ばね指でお悩みの方は、手外科専門医への相談をオススメします。
(文責・イラスト:院長)
参考文献:
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Long-Term Effectiveness of Repeat Corticosteroid Injections for Trigger Finger.
Dardas AZ, VandenBerg J, Shen T, Gelberman RH, Calfee RP. J Hand Surg Am. 2017 Apr;42(4):227-235.