ばね指の注射は何回まで出来る?|まえだ整形外科・手のクリニック|東京都杉並区にある手外科・整形外科

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ばね指の注射は何回まで出来る?|まえだ整形外科・手のクリニック|東京都杉並区にある手外科・整形外科

ばね指の注射は何回まで出来る?

指がひっかかったり、痛みを出すばね指(腱鞘炎)。ここでは、よく行われる治療であるステロイド注射について説明いたします。

指を動かす屈筋腱のトンネル(腱鞘)がはれ、すべりが悪くなるため、指のひっかかりや痛みがでるのが「ばね指(狭窄性腱鞘炎)」です。

ステロイド注射は、手術以外の方法では最も有効な方法です。当クリニックでは、確実に腱鞘の中にくすりを入れるため、エコーを見ながら注射をしています。

成功率・再発率は?

一回の注射で60~90%の方に有効ですが、繰り返すごとに効かなくなることが多いです1

また、注射を受けた方が再発する確率は、半年で30%、1年で50%とされています。

何回まで注射できるの?

注射は3回までと説明されることが多いようですが、回数に関しての明確な決まりや制限はありません。

ステロイド注射の効果持続期間は3-4ヶ月程度なので、注射を繰り返す場合、回数よりも、一定の間隔をあけることが重要です。短期間に注射を繰り返すと、ステロイドが腱のまわりに蓄積し、腱がもろくなります。ひどい場合、ある日突然腱が切れてしまい、指が動かなくなるということもあります。

実際には、2回・3回と回数を重ねるごとに再発までの期間が短くなるケースが多く、注射の回数が多いほど、手術後の回復が遅いとされていますので、2回以上再発をした時が、手術のタイミングと考えると良いと思います。

ばね指の手術に関しては、こちらをご覧ください。

ステロイドってこわいイメージがあるけど?

当クリニックではトリアムシノロン4~8mgとごく少量のステロイドを使用しておりますので、全身に影響を及ぼすことはまずありません。ご安心下さい。

手術は絶対したくない!

こうおっしゃる方もいらっしゃいます。ステロイド注射の効果があまりない場合、手術をおすすめしていますが、どうしても手術を受けたくないという方には、スプリント(装具)を使用した治療もあります。

関節を固定するスプリント(装具)を装着し、指の動きを制限します。腱と腱鞘の摩擦が軽くなり、症状が和らぐ場合がありますが、症状の改善には時間がかかります。

どのような治療を受けるのであれ、放置は望ましくありませんので、ばね指でお悩みの方は、手外科専門医への相談をオススメします。

(文責・イラスト:院長)

参考文献:

  1. Long-Term Effectiveness of Repeat Corticosteroid Injections for Trigger Finger.
    Dardas AZ, VandenBerg J, Shen T, Gelberman RH, Calfee RP. J Hand Surg Am. 2017 Apr;42(4):227-235. 

前田 利雄

記事監修

院長 前田 利雄
(まえだ としお)

  • 昭和大学医学部卒 医学博士
  • 日本手外科学会認定 手外科専門医・指導医