妊娠中・産後の腱鞘炎 〜注射は出来る?〜
妊娠中・産後は腱鞘炎になりやすいです。手を安静にすることは難しいため、困って当クリニックを受診される方が多くいらっしゃいます。ここではステロイド注射を中心とした治療について説明いたします。
妊娠中・出産後はホルモンバランスが大きく変化します。また、赤ちゃんのお世話に手をよく使いますね。この2つの要素から、腱鞘炎になりやすいのです。
特に多いのが、親指を使うと手くびが痛くなるドゥ・ケルバン腱鞘炎です。
親指を動かす腱は、手首のトンネル(腱鞘)を通っていますが、腱や腱鞘のはれ、使いすぎによって痛みや引っかかり感が出ます。
注射は出来る?
治療は一般的に、安静や湿布、ステロイド注射が行われますが、整形外科のドクターの中には、授乳への影響を考えて、注射はせずに様子を見るしかないと言われる方も多いようです。
しかし、赤ちゃんを育てているお母さんは、手を安静にすることは出来ませんので、困って当クリニックを受診される方が多くいらっしゃいます。
注射をすれば、数日で症状が取れてくることがほとんどです。ステロイド注射がお腹の赤ちゃんや、授乳に影響することはないとされていますし、再発することもまれですので、どうぞご安心ください。
注射はどうしてもしたくない!
そのような方には、スプリントといって、手首から親指を固定する装具での治療もあります。ステロイド注射ほどすぐに効果はでませんが、注射に抵抗のある方には、当クリニックのハンドセラピストがスプリントを作成します。
(文責:院長)
参考文献:
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Comparison of nonsurgical treatment measures for de Quervain’s disease of pregnancy and lactation.
Avci S, Yilmaz C, Sayli U. J Hand Surg Am. 2002 Mar;27(2):322-4.