肘部管症候群の手術治療
- 2020年5月5日
- 日帰り手外科手術
肘部管症候群は尺骨神経の障害ですが、この神経は回復しにくい神経です。手術以外の治療で改善しない場合や、検査で重症と判断した場合、早めの手術が望ましいです。
単純除圧術
神経の脱臼がない方に行う方法です。
肘の内側を切開し、神経を圧迫している靭帯などを切り開きます。傷は数センチで、手術後の制限は特にありません。
神経の圧迫が解除されると、神経脱臼が明らかとなる事があり、この場合は次の神経移行術を追加します。
神経前方移行術
神経の脱臼がある方に行う手術です。
神経を骨の前に移動し、肘の屈伸での神経の前後移動が起きないようにします。
神経を皮膚のすぐ下に置く方法(皮下前方移行術)と、筋肉の下に置く方法(筋層下前方移行術)があります。
皮下前方移行術の場合、当クリニックでは移動した神経が癒着して再発しないよう、神経を皮下脂肪でくるむ方法を行っています。
手術後は安静のため、2週間程度肘を固定します。徐々に日常生活に戻っていただきますが、重労働が可能となるのは、2ヶ月程度とお考え下さい。
腱移行術
重症の場合、つまみ動作で力が入りにくくなることがあります。このつまみ力を早くに回復するための手術です。
麻痺していない筋肉の腱を移動したり、腱を移植することによって、親指・人差し指によるつまみ力を回復させます。
いずれの手術も、当クリニックでは日帰りで行っています。
肘部管症候群に対する手術について説明させていただきました。
冒頭にも申し上げましたように、尺骨神経は回復の遅い神経ですので、診察や検査などで手術が必要と判断されたら、早めの手術を受けられることをオススメいたします。
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(文責・イラスト:院長)