まえだ整形外科・手のクリニック

まえだ整形外科・手のクリニック

お電話でのお問い合わせ
03-5382-5577

採用情報

ブログ

手の変形性関節症(ヘバーデン結節・母指CM関節症など)に対するPRP療法

変形性関節症の治療は、薬や注射といった対症療法が主体ですが、病気の進行を完全に止めることは出来ません。そこで最近注目されているのが再生医療であり、その中心となっているのがPRP(多血小板血漿)療法です。
ここでは、手の変形性関節症に対するPRP療法について解説いたします。

PRP療法って何?

血液に含まれる血小板には止血作用がありますが、血小板に含まれる成長因子には組織を修復する能力もあります。

PRPの抽出方法

PRPの関節注射

患者さんから採取した血液を遠心分離などで加工し、血小板濃度を高めたものがPRP(多血小板血漿)です。これを関節に注射し、自己修復能力を高めようとするのがPRP療法です。

関節に対しPRPがどのように働くかの詳しいメカニズムは他に譲りますが、痛みの緩和効果だけでなく、軟骨を再生させる可能性が期待されています。

PRP療法は、手指の関節にも効果がある?

膝などの大きな関節に対し、PRP治療を提供している病院やクリニックは増えてきていますが、手指の変形性関節症にまで行っている施設はまだ少なく、その成績はあまり報告されていないようです。

海外の研究では、

  • 痛みが軽減し、ステロイド注射と比較し、その効果が長く続いた。
  • 痛みだけでなく、機能や握力、関節可動域といった項目も改善した。
  • 重大な合併症は認められなかった

といった効果が報告されており、PRP療法によって痛みと機能の改善が期待されます。

しかしこれらの報告には、

  • 対象患者数が少ない。 
  • PRP製剤の精製法や濃度、注射回数や頻度がまちまち。
  • 対象患者さんの関節変形の程度による効果の差が不明。
  • 軟骨が再生されているかどうかの画像評価は行われていない。

といった課題もあり、
「どのような患者さんにも確実な効果が得られ、軟骨も必ず再生される」とまでは断言出来ない段階です。

当クリニックにおけるPRP療法の位置づけ

当クリニックでは、確かな医学的根拠があり、保険適応である薬や注射、ハンドセラピストによるリハビリ・スプリント(装具)などを組み合わせ、まずは手術なしでの改善を目指しています。

効果が乏しい場合手術を行っていますが、ヘバーデン結節に対する関節固定術のように、関節機能をある程度犠牲としなければならない場合もあります。

ヘバーデン結節の関節固定術

膝や股関節の人工関節のように、痛みもなくなり、機能も十分といった手術ばかりではないのが、手指関節手術の現状・課題なのです。

また、どうしても手術に踏み切れず、痛みや機能障害が残った状態で治療を断念されてしまう患者さんもいらっしゃいます。

PRP療法はエビデンスが十分蓄積されているとは言えない段階であり、現段階では当クリニックとしても積極的にオススメしている訳ではありません。
しかし手術と比較すると、ご自分の血液を用いた治療ですので、リスクは非常に低く、上述したような効果が期待出来ます。

自費診療となりますが、「あれこれ治療を試したけれど良くならない。だけど手術は受けたくない・踏み切れない」といった方には、ひとつの選択肢と言えるのではないでしょうか。

※費用・治療期間等については、お問い合わせください。

(文責・イラスト:院長)

参考文献:

  1. Platelet-Rich Plasma versus Corticosteroid Intra-Articular Injections for the Treatment of Trapeziometacarpal Arthritis: A Prospective Randomized Controlled Clinical Trial.
    Malahias MA, Roumeliotis L, Nikolaou VS, Chronopoulos E, Sourlas I, Babis GC. Cartilage. 2021 Jan;12(1):51-61.

  2. Treating hand and foot osteoarthritis using a patient’s own blood: A systematic review and meta-analysis of platelet-rich plasma.
    Evans A, Ibrahim M, Pope R, Mwangi J, Botros M, Johnson SP, Al Kassis S. J Orthop. 2020 Jan 28;18:226-236.

  3. New Trends in Injection-Based Therapy for Thumb-Base Osteoarthritis: Where Are We and where Are We Going?
    Tenti S, Cheleschi S, Mondanelli N, Giannotti S, Fioravanti A. Front Pharmacol. 2021 Apr 13;12:637904.

前田 利雄
記事監修
院長 前田 利雄(まえだ としお)

昭和大学医学部卒 医学博士

日本手外科学会認定 手外科専門医・指導医

詳しい医師紹介を見る

当院2Fの歯医者さん阿佐谷おとの歯クリニック

pagetop